勝手に範囲を絞らない
まずは、昨日の記事の最後の問題の解答から。
まだ読んでない人は、下のリンクから!!
[解答]
- 2018が4の倍数なら負の整数に、8の倍数なら自然数になる。2018は、4でも8でも割り切れないので、与式は整数でも自然数でもない。
- =8のとき、与式は最小の自然数=になる。与式で表されるほかの自然数はすべてを約数に持つので、最大のはである。
今日の話題は、2番の解答に関することである。2番の解答は、答えは合っているものの、記述としては不十分である。前回の記事において、2番の問題はについて何も書かれていなかったのに気付いただろうか。つまり、この問題においてはが自然数かわからない。ましてや、実数でさえないかもしれないのだ。よって、前回の記事だけでの議論だけでは解答を十分に書くことができない。
が分数や負の数の時ときはどうなるか、虚数のときはどうなるか…指数を複素数までに拡張するなど非常に高度な議論が必要になる。実際、これらの場合に自然数になることはないが、解法の過程を書かなければいけないとき、勝手にを自然数として話を進めてしまえば、思わぬ誤答につながる場合もある。
何も書かれていないときに、複素数まで拡張して考える必要があるかは難しいところである。ここに、1998年学習院大学の入試問題をあげる。
この問題、難しいわけではないので解説は省略するが、解答はどうなっただろうか。?それとも、?
どちらの答えも正しいといえるのだが、実際に大学側が用意していた解答は後者のほうである。この2つの答えは何が違うか、それは、複素数まで拡張して考えたか、それとも拡張していないかである。
ルートがあると、そのルートの中は正であると考えてしまう。しかしながら、大学側は、ルートの中が負になる場合も考えなければいけないと言っているのである。このように、大学入試でさえ実数で考えるか、複素数で考えるかで解答に違いが出てしまう。実際、このような問題は難しいが、複素数まで考えられそうな場合には、考えておくのが無難かもしれない。
大学入試などでも、場合分けをして考える問題は多くある。このとき、どの数字の世界で考えているかを明確にし、勝手な世界に入り込まないことが大切である。
次回は、超越数についての話をしようと思う。次回の話に少しだけつなげるために、今回のことも絡めた1問を出題して終わりにする。
[問題]
を解に持つ、係数が整数の方程式を作りなさい。